イントロダクション:DIG CULTERの使命と宣言
DIG CULTERは、時代の流れに埋もれていく多様なカルチャーを掘り起こし、独自の主観的な視点から記録・批評することで、未来に価値ある文化遺産を残すことを使命としている。
日々、大量に生産され消費される創作物の中にも、時に人の心を揺さぶり、小さな行動を生み出すものがある。カルチャーとは「その小さな行動の連鎖」によって形作られ、地層のように積み重なり続ける多面的かつ多元的な構造体である。
我々は、時の流れと共に埋もれていくカルチャーの「本質」や「文脈」を、主観的な批評、調査、感想を通じて掘り起こし、その地層に埋もれた側面を記録する。カルチャーの多様な側面を記録することで、新たな価値を創出し、未来へと受け渡すことが我々の行動理念であり、使命である。
カルチャーは古来より栄えては滅び、再び栄えるという変遷を繰り返してきた。記録に残された文化のエッセンスは、後世の研究や批評によって形を変えながらも継承されている。我々が属する現代のカルチャーもまた、複雑で多様なコンテクストによって構成されている。
現代社会において、インターネットの普及はカルチャーに関する情報へのアクセスを広げる一方で、かつての閉鎖的で密室的な雰囲気を薄れさせた。カルチャーの扉が広く開かれ、誰でも参加できるようになった結果、その内容は細分化し、より複雑なものとなっている。しかし、カルチャーが開かれ、多様な参加者が加わるにつれて、それ自体が消費物として扱われ、背景や本質が語られないまま消え去る危険性も高まっている。
さらに、SNSの普及により意見の発信が容易になったことで「異なる価値観を持つ者同士の衝突」が増加した。これにより、暗黙の了解のもとに成り立っていた秩序が崩れ、カルチャーは形式だけが残り、表層的なものとして消費される傾向がある。成熟したカルチャーが大衆化し、日常の中に溶け込むのは歴史上何度も繰り返されてきたが、これ自体を否定するものではない。我々が危惧するのは、カルチャーのサイクルが高速化することで「カルチャーそのものが将来的に生まれにくくなる可能性」と「カルチャーの本質を未来へ繋ぐ語り手の消失」である。語り手を失ったカルチャーの物語や価値は、一度消えると永遠に発掘されることがない。
DIG CULTERの使命は、生じては瞬時に消費される現代のカルチャーの地層から「歴史・文脈・価値」を掘り起こし、失われつつあるカルチャーを再発見し、再評価し、再構築することである。歴史的・文化的文脈や地域特有の視点を通じて、新たな価値を生み出し、未来に託す。これが我々の掲げるビジョンである。
DIG CULTERは、多様で多元的なカルチャーに対し「価値の再発見」と「新しい価値の創造」を担い、過去と現在を繋ぎ、未来に向けて新たな文化の形を生み出していく。主観的な視点からカルチャーを探求し、独自の切り口で語り続ける。我々が目指すのは、ただ情報を記録するのではなく、文化の深層に潜む人々の想いや背景、時代の変遷に光を当てることで、次世代に価値ある遺産を託すことだ。
DIG CULTERは、文化の多様性と独自性を尊重しつつ、時には批評的な視点からカルチャーを掘り下げる。この行動は、表面的な流行を追うのではなく、日常や地域に根付いた文化を見直し、新たな視点で再考することを目指している。
主観であるからこそ「壮大な勘違い」が避けられないこともある。しかし、その「勘違い」ですらカルチャーの一側面であり、訂正や反論を含めてカルチャーの深みを示す一つの表現である。我々は、カルチャーを消費するだけでなく、新たな価値を創造し続ける使命を担い、未来に対する責任を果たすことをここに宣言する。
以下に我々のポリシーの詳細を述べる。
もし我々の活動に興味があり、自身の愛するカルチャーの一つの側面を残したいという同士がいたならば気軽に連絡をしてほしい。
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本文章におけるいくつかの用語の定義
本文章において以下の用語に関してはこれから述べる定義に則り記述をする。
・カルチャーと文化の解釈と定義
本記事ではカルチャーと文化を同一の意味を含む単語であると認識しつつ、その言葉の解釈を拡張し、以下の意味合いで定義付けする
【カルチャー】
特定の時代や場面において、個々人や集団の行動、価値観、感情によって形成される動的で多層的な現象である。カルチャーは個々の生き様や主観的な行動、そして多様な要因が複雑に絡み合う中で偶発的に生まれるものであり、社会的なシーンやコミュニティの個性を強調するものとして現れる。文化が長期的な視野で社会の基盤を築くのに対し、カルチャーは生きた時代の空気を映し、変化しながらも人々の心や価値観を育むものである。
【文化】
歴史的に形成され、社会全体に共有される価値体系や規範、習慣を指し、時代を超えて人々に影響を与える安定的で広範な枠組みである。文化は過去から受け継がれてきた伝統や行動様式を内包し、社会的な意識や規律を規定する役割を持つ
また、文化とカルチャーは同時に存在可能であり、時には相互に内包される関係にある。両者は同時に発生することもあり、互いに影響し合いながらその価値や表現を形成していく。具体的には、文化は社会的な規範や歴史的な背景を基盤とし、社会の安定を支える大枠として存在する一方、カルチャーはその中で生まれた新しい価値観や行動様式、個人や集団の生き様を映す動的な側面を持つ。
・価値
本記事では価値を『特定の文化やカルチャーが持つ本質的な意味、影響力、そして未来に伝えられるべき独自性』の意味で記述する。
DIG CULTERにおける「価値」とは、特定の文化やカルチャーが持つ本質的な意味、影響力、そして未来に伝えられるべき独自性を指す。価値は、社会や個人に対してどのような影響を与え、人々にどのように受け入れられ、共感を呼び、変化を促すのかを通じて評価される。また、それは時代の文脈や背景においても捉え直され、再評価されるべき動的な概念である。
DIG CULTERにおいては、表面的な流行や一過性のトレンドではなく、その背後にある歴史、独自の感性、社会的な位置付け、そしてそのカルチャーが次世代や異なる文脈でどのように影響を与えうるかを深く掘り下げる。この「価値」を見出すことは、多様な文化やカルチャーを記録し、批評し、未来に伝えるというDIG CULTERの使命と直結している。「価値」とは、過去から現在、そして未来への文化的遺産としての継承性を意識し、後世に残るインスピレーションや変革の種を見極め、評価することである。
・主観的視点
本記事では主観的視点を『文化やカルチャーを捉える際に個人が五感で知覚した感覚、経験、価値観、直感を重視するアプローチ』として記述する。
客観的な分析や数値的なデータにとどまらず、当事者や観察者が直接関わる中で生まれる感覚や感情を通して、文化やカルチャーがどのように意味づけられ、形作られるかを掘り下げる姿勢を強調する。
主観的視点は、特定のカルチャーに関する深い洞察や独自の解釈を生み出すものであり、時には標準的な価値観や社会的枠組みを超えて、個々の体験や見方が持つ意義を強調する手段である。これはDIG CULTERにおける「価値」の評価にも密接に関係しており、文化の多面性や多層的な背景を正確かつ豊かに捉えるために不可欠な視座といえる。
また、主観的視点を通じて、人々がどのように文化を感じ、どのようにその影響を受け取り、自らの生活やアイデンティティに組み込んでいくかを探ることが可能となる。この視点は、文化やカルチャーを掘り下げ、そこにある本質を多様に理解し、表現し、未来に残すための重要なアプローチである。DIG CULTERでは、主観的な視点から見た解釈が生き生きとした文化の物語を紡ぐ役割を担い、異なる観点や感情を共鳴させる媒体としての役割を果たす。
カルチャーの価値と掘り下げの必要性
我々が日常的に口にする「カルチャー」は、特定の人々が時代や地域、社会的背景の中で紡ぎ上げてきた「集積された生き様」である。それは単なる流行や一時的な現象ではなく、多くの人々の行動や思考が複雑に絡み合い、形成されていく現象だ。
カルチャーとは、時代を超えた評価や再評価によって初めて顕在化する価値を持つものである。その時代を振り返った時に初めてタグづけされることから、カルチャーをリアルタイムで体感している人はそのカルチャー自体の中で行動はしていても『カルチャーという枠組みに関しては認識できない』
つまり「カルチャー」という概念は、当時の出来事や社会の騒動を経験した者たちが、過去を振り返りながらその意義を再定義し、特定の価値や意義を持つ文化現象として社会的に認識される際に形作られる。
カルチャーは、個々の瞬間や出来事が集積した「生きた構造」として存在しており、意図的に生み出されるものではない。むしろ、偶発的な出来事や人々の多様な感情、複数の行動が複雑に絡み合いながら、社会的・文化的・経済的・政治的要因と影響を及ぼし合うことで自然発生的に形成されるのである。
例えば、ファッションの流行は、洋服が好きな個人同士のコミュニケーターや個人の表現、デザイナーの試行錯誤やインプットしたコンテンツ、メディアの報道や企業の経済活動など、無数の偶発的な要因が交錯しながら形作られていく現象である。このような現象は意図して生み出し、コントロールすることは難しく、むしろ偶然が生み出す主観的な行動から生じるエネルギーの集合体によって構成される。
ゆえにカルチャーは主観的な視点からでしか語られず、その集合体である全体像を捉えることは容易ではない。また、カルチャーは「生き様」という性質上、非常に短命であり刹那的なものである。そのため後世に本質が受け継がれるためには、カルチャーの影響やカルチャーの批評を通じた『総括』や『再評価』のプロセスが必要不可欠である。私たちが愛する多くのカルチャーは、経済的価値だけで形式だけが継承されているわけではなく、目で捉えることができない『精神性』や『規律』が雰囲気だけが引き継がれて今に至る。そしてその目に見えない精神的価値に光を当てるためには『カルチャーを掘り下げる探求』と『生き証人の主観的な語り』、そして『カルチャーに対する批評』が不可欠なのだ。
我々がカルチャーを掘り下げるのは『失われていくカルチャーの見えざる側面に光を当て、改めてその概念・文化・習慣・風土・創作にアクセスした後世の人にインスピレーションを与え、カルチャーを継承してもらいたい』という思いからである。
また、我々はカルチャーの「価値」を一言で断言し、その価値を絶対的なものとして語ることはしない。なぜなら、カルチャーのもたらす価値は多様であり、見る人によって価値あるものと映る一方で、別の人には無価値に映ることもある相対的な特性を持つからである。
カルチャーにはそのカルチャーが生じた中心点としての「震源地」が存在するが、その中心もまた動的で常に変化し続ける「揺らぎ」である。「揺らぎ」は、携わる人たちの間で通ずる共通のアイデンティティを形成しながらも、常に拡張し変容を続けている。このような動的で多元的な多重構造こそがカルチャーの本質であり、だからこそ多様な人々によって異なる視点から解釈ができるのだ。
我々が探求するカルチャーも文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースが指摘したように、文化は記号のシステムとして構造化可能であり、言語、象徴、儀礼、物語などが社会の中での人間関係や行動を規定している。
同様に、カルチャーも記号的な要素を持ちつつ、動的に変化し続ける存在である。しかし、記号による分析はカルチャーの一側面を捉えるに過ぎず、誰もが納得するような絶対的な真理は存在しない。カルチャーは多面的で多元的な構造を持ち、人々の解釈が無限に広がる特性を持つ。
そして最後に重要な点としてカルチャーには「語られなければ消えてしまう」という特性がある。カルチャーは時間の経過とともに埋もれ、それは誰かが語り継がなければ受け継がれることなく消えてしまう。カルチャーの本質的な価値や異なる一面の真実達を次の未来に引き継ぐためには、過去の出来事を掘り起こし、批評による再評価を行う必要がある。カルチャーは語られることによってでしか多面的な構造の中に存在する一つの真実を後世に伝えることができない。
カルチャーの多様な側面へのアクセスが未来であらたな価値創出のインスピレーションとなり、次のカルチャーを生み出していくのである。
主観的視点の強みとユニークさ
カルチャーは先述の通り、主観の集合体である。そして、いつの時代もカルチャーを再評価し蘇らせるのは主観による「批評」である。リバイバルとは、歴史の地層に埋もれたカルチャーに再びアクセスすることで生まれる現象であり、新たなカルチャーの創出は、文化的背景や文脈の絡み合いから生じる。それは、太古から現代まで受け継がれてきた人々の行動や感情が編み込む物語である。
現代において、消費される情報やコンテンツに新たな価値を与えるのは、それを経験し、深く関わってきた個人の「批評」に他ならない。DIG CULTERは「その時代を生きた人たちの主観的な体験談や思い出話」に宿る価値を大切にする。主観的であるがゆえに、カルチャーは真の意味で客観的な評価が難しいが、それこそがカルチャーを構成する「個」の力であり、その重要性である。
一方で、主観的な視点のみで語られるカルチャーは記録されなければ消え去る運命にある。DIG CULTERでは、主観的視点から日々生まれるトピックスを批評し、カルチャーの多面的な一側面を表現し続ける。メディアが映し出す情報は「一つの側面」に過ぎず、集合体としてのカルチャーが歴史となるのだ。
時代を動かすカルチャーは、表現者や行動の中心人物に注目されがちだが、その背後で享受し、熱狂した「消費者たち」こそが支えている。ゆえに、DIG CULTERは『個人の主観』に価値を見出す。客観的な正しさだけでなく、主観的視点から語られる真実も重要である。
主観には時に「間違い」や「勘違い」が含まれるかもしれないが、それもまた生きた時代の証であり、新たなインスピレーションを生み出す源となる。歴史の改竄ではなく、多様な真実の側面を記録し、次世代に引き継ぐため、取り上げる題材には最大限の敬意を払う。私たちの表現はあくまで「主観」を重視し、新たな視点を提示することで現代と未来を繋ぐ。
DIG CULTERは、「創造の軌跡がカルチャーの層を重ねる」という考えを軸に、あらゆる創造物が形作る歴史を表層だけでなく、過去から現在に至る創造の痕跡を探求する。我々はその層を掘り下げ、表面に現れることのない価値や背景を掘り起こし、未来に残すべき知識や意義を再発見する。主観的な批評を通じて、多角的な文化の魅力を未来へ繋ぎ、新たな文化的価値を見つける活動を続けていく。
新たな価値を創る旅のはじまり―DIG CULTERの宣言
カルチャーは私たちの生活に息づき、常に新たな意味を紡ぎ出す創造の結晶である。DIG CULTERは、これから始動するにあたり、多様な文化の層を掘り下げ、独自の視点で文化の本質を捉え直すことを使命とする。時代がどれほど変化しようとも、私たちは文化を問い直し、新たな価値を生み出す場を創出していく。デジタル化の加速やグローバルな潮流が日常の中に新しい変化をもたらす今、地域や個々人の感性を大切にしながら、文化の新しい未来を築く力を共に高めたい。
「あらゆる創造はカルチャーを生み出す」という理念のもと、DIG CULTERは、すべての創造行為に文化的な価値を見出し、それを掘り下げ、共有する場を提供する。この場が多様な人々の創造力を刺激し、未来の文化の礎を築くことを目指しているのだ。アート、ストリートカルチャー、地域社会での小さな行動、日常生活の中に潜む創造性――それらすべてが文化の構成要素となり、未来への道筋を照らす光となる。
これから始まる私たちの旅は、文化の複雑で多層的な価値を掘り下げるとともに、世の中に未だ知られていない「カルチャー」の魅力を掘り起こすことに他ならない。ともに新しい視点で文化を見つめ、未来へその灯を渡していこう。それがDIG CULTERの宣言であり、使命である。